それなら僕にも考えが

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所感と、各国の情報。

③退屈鉄道が加速してゆく。モスクワ〜キエフ編

 

極寒のイルクーツク、鼻水も凍るバイカル湖でしばらく遊んだ僕はまたシベリア鉄道に乗り込んだ。この時に注意してほしいのが「時間」だ。ロシアはその広大な国土ゆえ標準時がいくつもある。シベリア鉄道の場合は全て「モスクワ時間」で統一されているから、それを自分が乗る駅の時間に変換してホームに向かわなければならないのだ。僕はこれを勘違いしてチケットを取っていたため、真夜中に駅に向かう羽目になった。凍えた。

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イルクーツクの宿は快適だった。主人もいい人だった。



イルクーツク~モスクワ間では一番下の等級のチケットを買った。これはロシアの地元民しか乗らない等級で、アウェー感がすごい。また、このクラスでは「コンパートメント」などというものが存在しない。1両まるまるが1部屋のようになっており、車両を貫く一本の廊下の両サイドに二段ベッドがひたすら並んでいるだけなのだ。まさに現代の奴隷船だ。しかも上のベッドを選んでしまうと、天井が近すぎるためベッドの上で体を起こすことすらできない。上のベッドは「寝る」か「ローリングする」ことしかできないのだ。

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車窓からの景色はロシア国内ずーーっとこれだ。ずっと。



何も知らずに上のベッドを選んでしまった僕は、モスクワまでの4日間非常に苦労した。昼間は下のベッドに座って過ごすことになるわけだから、そこの住人との関係がなにより大事である。嫌われてしまったが最後、日がな一日ベッドでローリングするしかやることがなくなるのだ。

 

最初の2日間はよかった。優しいロシア人のおばちゃんが下のベッドにいて、一日中世間話ができたのだ(言っていることは何もわからなかったが、おばちゃんも僕もそれでよかった)。おばちゃんというものの生態は世界共通らしく、お茶やらお菓子もくれた。

 

最後の2日間は最悪だった。おばちゃんが降りた後乗ってきた男が僕を(アジア人を?)嫌っていたようで、何も話せなかったし、目も合わせてくれなかったのだ。僕はまる2日間ローリングして過ごした。まるまる2日ローリングしてた男って僕以外にいる?ギネス記録じゃないかな。

 

イルクーツクを出発してから84時間、モスクワに着いた。ちょうど雪解けの時期で、道がドロドロでとても汚かった。もうこんな国とはおさらばだ。すぐにモスクワのキエフ駅に向かった。ロシアの駅名は面白くて、「行き先」が駅名になるのだ。だからモスクワにキエフ駅があるし、多分キエフにはモスクワ駅がある。

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モスクワでは「こんな国きらいなんだから!」って思っていたため写真をほぼ撮っていない



モスクワからウクライナキエフへはあらかじめウクライナ鉄道のチケットを予約していた。あとはいつも通り窓口で引き換えてもらうだけ、と思っていたのだが問題が発生した。なんと、

ウクライナ鉄道のチケットはウクライナ国内でしか発券できない」

らしいのだ。いやいや、これからウクライナに行くところなんだけど。意味のわからないシステムだ。仕方なくそのチケットは諦めてキエフ行きの別のチケットを窓口で買った。

 

キエフ行きの列車も寝台列車だったが、14時間程度で着いたので快適なうちに着いた(この時点でだいぶ時間感覚が麻痺している)。

 

ここまでの長距離移動の合計時間: 211時間

 

次回はウクライナベラルーシポーランド編。